路線バスを「点検車」にする逆転の発想!――ガス漏えい事故リスクの“監視の空白”を埋める新手法とは
AI車載カメラと見回りの効率化

大阪ガスネットワークが進めるこの事業は、2022年1月に政府が主催した「第5回インフラメンテナンス大賞」で特別賞に輝いている。経済産業省の資料をひも解くと、その画期的な中身が浮かび上がってくる。
「大阪ガスは各配管工事業者が道路を掘削する際に、ガス管を破損しないよう事前の工事協議を求めているが、同社に届け出なく工事が行われるケースがある。このため、圧力が高いガス管が埋設されている路線については、破損時の社会的影響が大きいため、届け出のない工事を発見するための車両パトロールを行っている。本取組では、路線バスに搭載する工事現場が判別可能なAIカメラを開発した。これにより現状の対象路線の約7割について、車両パトロールが不要となり、事務所にいながら届け出のない工事の把握が可能となった」(「工事現場をAIで自動認識する車載カメラ」によるガス管パトロールの効率化 8ページ、総務省)。
「現状の対象路線の約7割について、車両パトロールが不要」という数字が政府資料に明記されている点は重い。内容が過大に語られているとは考えにくく、見回りの手間が大幅に削ぎ落とされた事実は、維持に苦しむバス業界にとっても無視できない福音だ。これはバスが移動手段を越え、都市の安全を根底で支えるインフラとして、公的な位置づけを得つつあることを物語っている。
国が旗を振るガス事業のデジタル化の波において、京都市バスと大阪ガスネットワークの連携が持つ意味は小さくない。日本ガス協会の資料でも車載型AIカメラの有用性が説かれており、今後はドローン活用など、他の技術との比較検討も加速するだろう。
こうした異業種との手を取り合う動きは、路線の存続を議論する場においても、「インフラを守る」という大義名分のもと、公的な支援や予算を引き出す力強い根拠となり得るだろう。