テスラでもトヨタでもない――世界EV市場の約3分の2を押さえる“見えない勝者”の正体、なぜ主導権はここまで変わったのか?
EV市場は政策の揺れと資源制約に直面し、投資減速が広がる一方で、中国勢のLFP優位とGMのLMR実用化が対照をなす。電池技術の選択が価格構造と供給網を左右し、業界勢力図を塗り替えつつある。
航続距離と価格の両立を狙うLMR電池

アルティウム・セルズが投入するリチウム・マンガンリッチ(LMR)バッテリーは、LFPバッテリーと比べてエネルギー密度が約33%高く、製造コストはほぼ同じ水準に抑えられている。材料にはリチウムを多く含む金属酸化物を用い、組成はマンガン約7割、ニッケル約3割となる。希少なレアメタルの使用を抑えることで、特定の国への依存を弱めた供給体制を築きやすくし、生産の流れも整えやすくなる。
こうした構成は、資源調達の偏りにともなう不安を和らげ、供給網の安定につなげるねらいがある。エネルギー密度の向上は車体の軽量化につながり、走行距離と価格の釣り合いを取りやすくする。まだ広く普及していない車種への搭載を想定し、ガソリン車に近い価格帯での販売を目指す動きでもある。
結果として、既存の市場の形に変化を与える力を持つ技術とみられる。