12駅が一気に消滅! ジリ貧「宗谷本線」に今春、あえて新駅が設置されたワケ
2022年3月、JR北海道・宗谷本線に「名寄高校駅」が誕生した。存廃議論に揺れるローカル線にあって、新駅の開業が実現した背景には何があったのか。
年間57億円余りの損失
固定費の大きさと、それに反して少ない利用者の実態は、数字に表れている。
JR北海道が公表した2020年度の路線別収支によると、宗谷本線の南側、旭川~名寄間(いわゆる南線)が31億2600万円の赤字、名寄~稚内間(いわゆる北線)は26億4100万円の赤字で、合計すると57億円余りの損失となっている。
また、利用者数でみると、輸送密度(1日平均・1km当たりの利用者数)は、南線が827人、北線が165人と、ごく少ない。
新型コロナウイルス禍による利用減少で、前年度に比べ半減近くまで落ち込んだとはいえ、国鉄再建法に規定された「特定地方交通線」のうち、廃止の優先度が高かった「第1次」「第2次」の基準であった「1日2000人未満」を大きく下回った。
2021年3月、当時の全53駅の2割に相当する12駅が一挙に廃止されたのは、このような状況下、固定費を幾ばくかでも減らそうという取り組みだった。いずれも1日の利用者がほぼゼロの無人駅で、削減効果は1駅につき数百万円程度という。
自治体と共同 利用客増やす施策
極限まで経費節減が進むJR北海道にあって、名寄高校駅は、一筋の光明に見える。利便性を向上し、利用者を増やそうという施策が、沿線自治体と共同で実現したからだ。
北海道立名寄高校は、宗谷本線の列車からも見える場所にある。鉄道を利用して通学する生徒は、最寄りの東風連駅に乗り降りしていたが、高校からは1.6kmほど離れていた。ならば、駅を高校の近くに持ってくればいい……。単純だが、効果的なアイデアである。