赤字なのになぜ? ヨーロッパ各国が「夜行列車」を増やし続けるワケ

キーワード :
, , ,
オーストリアのウィーンからフランスのパリを結ぶ夜行列車が運行を開始した。欧州各国の鉄道事業者が連携して、路線を拡張する計画まで存在している。

3か国が共同運行

OBBが運行するナイトジェット(画像:写真AC)
OBBが運行するナイトジェット(画像:写真AC)

 オーストリアのウィーンからフランスのパリを結ぶ夜行列車が、2021年12月に運行を開始した。現在、オーストリア連邦鉄道(OBB)、ドイツ鉄道(DB)、フランス国有鉄道(SNCF)が、共同で週3便運行している。

 ウィーンとパリを結ぶ夜行列車は2007年に廃止されていたが、15年後の現在、復活を遂げたのである。

 その上、ヨーロッパ各国の鉄道事業者が連携して、路線を拡張する計画まで存在している。衰退の一途をたどっていたヨーロッパの夜行列車の転機と、その課題とは何か。

復活を遂げた夜行列車とは

リーゲワーゲン(画像:オーストリア連邦鉄道)
リーゲワーゲン(画像:オーストリア連邦鉄道)

 2021年12月13日、オーストリアの首都ウィーンとフランスの首都パリを結ぶ夜行列車が、15年ぶりに復活を遂げた。その夜行列車は、ウィーンを19時40分に出発し、

・ザンクトペルテン
・リンツ
・ミュンヘン

を経由して、およそ14時間かけて9時42分にパリに到着する。ウィーン発は月、木、土曜日に、パリ発は火、金、日曜日に運行されており、週3往復運転されている。

 列車には三つのタイプの車両が連結されている。記載の料金はウィーン~パリ間の最低料金であり、日本円には1ユーロ137円で換算している。

・Schlafwagen(シュラーフワーゲン):個室寝台で各室にシャワーとトイレが付いている。ウエルカムドリンクや朝食が提供され、ひとり使用時の料金は139.90ユーロ(1万9166円)。
・Liegewagen(リーゲワーゲン):寝台付きのコンパートメントで、車両にシャワー室とトイレが付いている。ミネラルウオーターと軽い朝食が提供され、大人3人使用時の料金は199ユーロ(2万7263円)。
・Sitzwagen(ジッツワーゲン):座席だけのコンパートメントで、車両にシャワー室とトイレが付いている。大人3人使用時の料金は99ユーロ(1万3563円)。

 参考として、夜行列車以外の交通手段における、ウィーン~パリ間ひとりあたりの料金と時間を載せる。

・高速列車(ICEとTGV乗り継ぎ):約11時間30分、109.9ユーロ(1万5056円)。
・長距離バス(乗り換えなし):約17時間55分、59.99ユーロ(8218円)。
・航空機:約2時間、通常価格300ユーロ(4万1100円)、格安航空券27ユーロ(3699円)。

 航空機が旅行時間において圧倒的に速く、格安チケットであれば最も安い移動手段となる。

 高速列車と夜行列車の比較では、旅行時間の差が2時間30分程度と大きいとはいえない。個室利用だと夜行列車は割高感が残るものの、コンパートメント(小さく仕切られた客室)を利用することにより圧倒的に安くなる。コンパートメントは、時間的にも、料金的にも受け入れられやすいポジションにあるといえよう。実際、多くの乗客に安いという理由でコンパートメントが選ばれている。