「もう時代遅れです」 なぜ物流の最前線は“デジタコ”を嫌うのか? 装着率85%を目指す国と、現場に広がる妥協
トラックの8割に導入済みのデジタコ。法令順守を前提とするが、停車や荷役の詳細な記録は困難で、配達管理アプリの導入が進む。2027年には装着率85%目標のデジタコも、物流現場の実態に十分応えられていない現状が浮き彫りとなる。
タコグラフの役割

「デジタコって、もう時代遅れですよね」──2025年末以降、筆者(坂田良平、物流ジャーナリスト)は複数の運送会社から同じ質問を受けている。
質問した運送会社はいずれも、物流効率化法や貨物自動車運送事業法などの改正に合わせ、自社のトラック輸送の見直しを進めようとしている。しかし検討を重ねるほど、トラックにデジタコを装着する必要性が見えなくなってきたという。
タコグラフ(Tachograph)とは、自動車の走行ログとして「速度」「時間」「距離」を自動で記録する装置である。かつては丸い専用の記録紙(チャート紙)に針で線を引くアナログタコグラフ(アナタコ)が主流だったが、現在では約8割の運送会社が、走行ログをデジタルデータとして取得し、メモリーカードやクラウド上に記録するデジタコを採用している。
タコグラフは装着が義務付けられている。営業用トラックでは「車両総重量7t以上」または「最大積載量4t以上」のいずれか、自家用トラックでは「車両総重量8t以上」または「最大積載量5t以上」のいずれかを満たす場合に装着が必要である。自家用と営業用では基準が少し異なる。
国土交通省は、タコグラフを装着すべき理由として、主に
●過労運転の防止(労働時間の客観的管理)
トラックドライバーの長時間労働や過労による事故を防止するため、トラックの走行時間等を記録し、労務実態を把握するため
●安全運転の励行(交通事故の抑止)
運行中の走行状況を記録し、スピードの超過や急ブレーキなどを把握するため
●事故発生時の原因究明
万が一事故が発生した際には、直前の走行速度やブレーキのタイミングなどを把握し、事故原因の究明や再発防止策の立案に役立てるため
という3点を挙げている。