「中国製車載ソフト全面禁止」 3月17日に迫る決別――輸入電池の中国シェア「43%」急減、もはや“安さ”は罪になったのか?
米国自動車産業は、2026年3月17日から中国・ロシア製ソフト禁止という歴史的規制に直面。VCSやADASを含む車載ソフトの脱中国が進む中、EVの中国製バッテリー比率は10%に低下。安全保障とコスト増、国際競争力の板挟みが迫る。
ソフト開発会社移転による経済活性化の可否

BISの最終規則が効力を発揮する日が迫るなか、前述のとおり、猶予措置として中国製ソフトウェアでも3月17日より前に中国以外の企業へ移管されたものは使用が認められる。これにより開発会社が拠点を中国から米国内へ移す動きが予想され、米国経済を活気づけるとの見方もある。
だがソフト開発の拠点は生産工場とは性質が根本的に異なる。米国内に開発企業が進出しても、経済的な波及効果は乏しい。新工場であれば多くの雇用を生み出し地域を潤わせ、周辺の供給網を広げる効果が見込める。
これに対しソフト開発は少数の専門家による体制が基本であり、雇用の増加や機材の需要はわずかなものにとどまる。登記上の拠点を移すだけで安全上の懸念が完全になくなるわけではなく、規制を潜り抜けるための形ばかりの措置になりかねない。ソフト開発の脱中国化は
「コストの増大」
に直結する。自動運転などの開発には膨大な労力がかかる。賃金の高い米国内へ拠点を移せば、収益の悪化は避けられない。すでにEV事業の赤字に苦しむメーカー各社にとって、さらなる負担を背負い込むことになり、規制への対応に苦慮する実態が浮き彫りになる。
米国内での高度人材の奪い合いは人件費を異常に高騰させ、メーカーの収益力を恒久的に削り取る。
ソフト開発を中国から切り離すことで生じる費用の高騰は、最終的に消費者の負担を増やし、メーカーの利益を削る形で跳ね返る。米国は中国を完全に排除する対価として、安全保障を優先するために生じる費用の増大を受け入れざるを得なくなる。
これは政治的な成果を得る裏で、メーカーが利益の出にくい体質へと変質させられることを意味するのである。