「赤字6500億円だが、絶望ではない」 日産が衝撃決算の裏で進める“逆転のシナリオ”

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日産の2025年度第3四半期決算は、最終赤字6500億円ながら第3四半期単体で175億円の営業黒字を計上。巨額リストラで負債を一掃し、固定費削減効果が上回る一方、世界販売は前年同期比5.8%減。V字回復か縮小均衡か、再建の行方が鮮明になった。

光と影

日産自動車からの離脱が決まった湘南工場(画像:日産車体)
日産自動車からの離脱が決まった湘南工場(画像:日産車体)

 経営再建計画の進捗と、依然として厳しい販売現場の対比が、日産の実像を鮮明にしている。

 イバン・エスピノーサ社長のもとで、固定費削減と体質改善が進んでいる点は評価できる。2026年度までの削減目標2500億円に対し、すでに1600億円を達成しており、進捗率は64%に達した。

 世界7か所の生産拠点の整理も具体化しており、損益分岐点を引き下げ、少ない販売台数でも利益が出る体質へ移行している。拠点の整理は、需要の変化に合わせて電気自動車(EV)とガソリン車の生産比率を柔軟に変更できる体制を整える狙いがある。

 対して影の部分は、止まらない販売減と競争激化だ。9か月間の世界販売は225万7000台と前年同期比5.8%の減少となった。米国や中国市場での競争が続いており、特に中国ではEVの価格競争、米国ではインフレと金利高が逆風となっている。

 現在の日産は台数が減っても収益を確保する方針へ舵を切っている。具体的には米国で値引き販売を抑制し、中古車価格の下落とブランド価値の毀損を防ぐ取り組みを強めている。安売りによる台数確保は収益を長期的に損なうため、この悪循環を断つ必要がある。

 結果として市場占有率の低下は避けられない状況だが、確実に利益を出せる構造への転換を優先している。

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