「宿敵のエンジンを搭載します」 ホンダが日産にHVエンジン供給を検討――実行されれば北米の勢力図はどう塗り変わるのか?

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日産が6500億円の最終赤字、ホンダも14年ぶりの四輪赤字と、両社は窮地にある。BEVが36.7%減、HVが14.2%増と激変する北米市場で、宿敵がエンジンの共有という踏み込んだ協力に動いた。自前主義への執着を捨ててまで選んだ生存戦略。日本発の第2のメガ連合へと至る道筋か、その合理性を解き明かす。

日産の決断

日産・ローグプラグインハイブリッド(画像:日産自動車)
日産・ローグプラグインハイブリッド(画像:日産自動車)

 日産は二期連続の連結最終損益6500億円の赤字という、極めて深刻な財務的制約に直面している。この状況下で、自社で数千億円を投じて大型車向けハイブリッドの基幹部品を新規に開発する道は現実的ではない。ホンダから完成された技術の供給を受ける判断は、莫大な現金の流出を食い止めるための経営判断である。

 2025年第4四半期の米国市場において、新車販売台数が前年同期比3.9%減の約407万台にとどまるなか、バッテリー式電気自動車(BEV)が36.7%も急減し、ガソリン車も1.5%減少した。対照的に、HVは14.2%もの伸びを見せており、市場の需要が急速に移行している事実は明白だ。

 日産は2026年度中に三菱アウトランダーの技術を流用した「ローグ」のプラグインハイブリッド仕様や、独自の「e-POWER」搭載モデルの投入を予定しているが、これらは北米で収益の柱となる大型SUV市場の要求を満たすには出力や特性の面で不十分であった。

 ホンダの次世代技術を導入することで、新型車の投入時期を数年単位で前倒しし、需要が拡大する好機を確実に捕捉する。これにより、温存できた開発資金と人員を自らの競争優位性を左右する自動運転や人工知能、ユーザー体験といった領域に振り向けることが可能になる。

 かつて技術の象徴であった内燃機関の自社開発に固執せず、価値の源泉をソフトウェアによる制御へと移転させることで、ハードウェアの性能で劣後し、市場での存在感を失う最悪の事態を免れるための、合理的な経営資源の配分を突き詰めた結果といえるだろう。

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