「宿敵のエンジンを搭載します」 ホンダが日産にHVエンジン供給を検討――実行されれば北米の勢力図はどう塗り変わるのか?

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日産が6500億円の最終赤字、ホンダも14年ぶりの四輪赤字と、両社は窮地にある。BEVが36.7%減、HVが14.2%増と激変する北米市場で、宿敵がエンジンの共有という踏み込んだ協力に動いた。自前主義への執着を捨ててまで選んだ生存戦略。日本発の第2のメガ連合へと至る道筋か、その合理性を解き明かす。

ホンダの計算

ホンダ・次世代 大型ハイブリッドシステム(画像:本田技術工業)
ホンダ・次世代 大型ハイブリッドシステム(画像:本田技術工業)

 ホンダは需要が急増しているHVについて、2027年以降に投入する次世代モデルを、EV普及までの過渡期における主力商品群と見なしている。特に北米市場の大型車への底堅い需要に応えるため、力強い走行性能と環境性能を両立した大型車向けHVシステムを2020年代後半に投入する。現在のホンダの四輪事業は、米国でのEV関連の損失引当や減損に加え、関税影響による減益要因が5466億円に上るなど、14年ぶりの営業赤字という窮状にある。

 こうした財務上の圧迫を打破するため、ホンダは自社専用としていた次世代HV用エンジンの製造ラインを日産へ開放した。これにより工場の稼働率を強制的に引き上げ、エンジン1基あたりの生産コストを大幅に抑制する。ホンダにとってこの供給は、自社の販売増減に翻弄されない安定した供給先を確保し、北米事業全体の損益分岐点を引き下げるための実利的な手法となる。

 単独では重荷となる巨額の開発費を、日産からの支払金によって早期に回収し、得られた資金を次世代の基幹技術へ先行投資する好循環を生み出す狙いも透ける。この動きはホンダが完成車メーカーの枠を超え、他社に基幹部品を供給するメガサプライヤーとしての機能を兼ね備え始めることを意味する。

 内燃機関への投資が将来的に回収不能な負債となるリスクを予見し、競合を自社の陣営に引き入れることで、開発の投資効率を極限まで高めると同時に、サプライチェーン全体に対する主導権を確保する計算が働いている。

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