「宿敵のエンジンを搭載します」 ホンダが日産にHVエンジン供給を検討――実行されれば北米の勢力図はどう塗り変わるのか?
日産が6500億円の最終赤字、ホンダも14年ぶりの四輪赤字と、両社は窮地にある。BEVが36.7%減、HVが14.2%増と激変する北米市場で、宿敵がエンジンの共有という踏み込んだ協力に動いた。自前主義への執着を捨ててまで選んだ生存戦略。日本発の第2のメガ連合へと至る道筋か、その合理性を解き明かす。
統合への道標

ホンダと日産がハイブリッドシステムという駆動系の最重要部品を融通し合う事実は、現場レベルにおける技術的な垣根を消失させ、将来的な組織の合流に向けた心理的な抵抗を減らす効果をもたらす。
内燃機関の共通化によってもたらされるコスト抑制が、両社の営業利益を向上させる結果に繋がれば、それぞれの独立性を守るよりも、ひとつの巨大な企業体として機能する方が経営的に理にかなっているという結論が、急速に現実味を帯びてくる。
この協力関係は、資本の論理に基づかない実質的な機能統合の試みといえる。駆動系を共通化するという決断は、完成車メーカーが製品の個性を物理的な仕組みではなく、その上の層にあるサービスや価値で競う時代へ完全に移行した事実を裏付けている。
日産が抱える6500億円の連結最終赤字や、ホンダの四輪事業が14年ぶりに陥った営業赤字という厳しい現実に対し、個別に消耗を続ける不合理を排除し、両社の資源をひとつの方向へ集約する流れは今後さらに加速していく。
今回の協力が目前の危機を凌ぐための限定的な共助に終わるのか、それとも日本発の「第2のメガ連合」へと至る歴史的な第一歩となるのか。競争と協調を同時に推し進める両社の歩みには、電動化という激流のなかで自らの存在意義を問い直すメーカーの悩みが詰まっている。
世界的な規模で進行する構造転換に対し、個別の企業として立ち向かう限界を見据えた先にあるのは、かつての宿敵が同一の目的を共有する新たな産業の姿といえるだろう。