トヨタは「正しかった」のか? ハイブリッド再評価と「マルチパスウェイ」の真価【短期連載】「2035年エンジン車禁止」という幻影(3)
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正解のない自動車市場

2021年12月のBEV戦略で豊田章男氏が述べた「正解がわからない時代、多様化の時代」という指摘は、4年経った今も変わっていない。自動車メーカーは、市場の動向を見ながら生産する車種や台数を柔軟に調整する必要がある。
ここで、EU市場の動きを確認してみる。比較しやすいように、2022年から2025年までの第3四半期累計のデータを抽出した。
●2022年
・BEV:71万6843台
・プラグインハイブリッド車(PHV):58万6855台
・ハイブリッド車(HV):155万1559台
・ガソリン車:256万6459台
●2023年
・BEV:111万2192台
・PHV:59万7376台
・HV:199万8921台
・ガソリン車:287万8365台
●2024年
・BEV:104万7426台
・PHV:55万1618台
・HV:240万169台
・ガソリン車:274万7631台
●2025年
・BEV:130万188台
・PHV:72万2914台
・HV:279万3079台
・ガソリン車:223万4058台
2022年と2025年の販売台数を比較すると、BEVは58万3345台、PHVは13万6059台、HVは124万1520台と、HVの伸びが圧倒的であることがわかる。
BEVやPHVは補助金の有無で販売が変動するため、安定して消費者のニーズに応えられるのはHVである。しかし、充電インフラがまだ整備途上にある現状では、PHVの需要も根強い。このことから、当面はPHVとHVが市場の現実的な解となり、その優位性はしばらく続くと考えられる。
将来的にBEVへの本格転換が進む可能性を持つのは、全固体電池の実用化である。全固体電池は電解質に液体を使わず、リチウムイオン電池と比べて充電時間を3分の1に短縮でき、エネルギー密度は2倍となり、より遠くまで走れる。低温環境でも作動する利点もある。
多くの自動車メーカーやバッテリーメーカーは、2020年代後半の市場投入を目指しているが、実現性や価格はまだ不透明である。豊田章男氏の言葉を借りれば、
「未来を予測することよりも、変化にすぐ対応できることが大切」
である。現時点では、HVとPHVで全固体電池までの空白期間を埋めるのが、カーボンニュートラルに向けた現実的な解である。