残クレは「見栄のドーピング」なのか? 年収460万で高級車に乗る現実――あなたは車の主人か管理人か
街で目にする高級車の価格は540~890万円。平均年収458万円との乖離を埋める残価設定型クレジットは、新車購入の約半数で利用され、所有から使用への価値観変化と、安全・体験を両立する合理的消費の象徴となっている。
街に溢れる高級車の正体

街を走るアルファードやヴェルファイアの数は、もはや珍しいものではない。車両価格はエントリーモデルでも540万円を超え、最上位グレードでは890万円に達する。こうしたモデルが地方の住宅街や郊外の商業施設に当たり前のように並ぶ光景は、日本の平均年収(約460万円)というデータと比べれば、明らかに不釣り合いな歪みを感じさせる。
このギャップを埋める仕組みとなっているのが、新車成約の約半数にまで普及した残価設定型クレジット、いわゆる「残クレ」だ。
残クレは、車両価格から数年後の予測下取り価格(残価)をあらかじめ差し引き、残りの金額を分割で支払う仕組みだ。
具体的な例を見てみよう。800万円の車両を5年契約で購入し、5年後の残価を300万円(車両価格の37.5%)と設定した場合、支払う元金は500万円に圧縮される。この元金500万円を60回で分割すると、月々の支払元金は約8.3万円となる。しかし、実際には据え置いた300万円に対しても金利が発生するため、実質年率3%から5%程度を想定すると、実際の支払額は月々約9.5万から11万円に達する。
この仕組みにより、かつては富裕層の象徴だった高級車が、中堅層の月給でもやり繰りできる固定費へと姿を変えた。だが、その裏側には重要な前提が隠されている。車検証上の所有者は信販会社やディーラーであり、ユーザーは特定の条件下でのみ使用を許された一時的な占有者に過ぎないのだ。