ドリフト走行は“文化”か“暴走”か――公道なら最長15年拘禁? 26年法改正で“ストリートとの決別”か
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公道でのドリフト走行は事故多発と社会的損失を生む一方、日本発のモータースポーツ文化や関連産業の成長も支えてきた。2026年の法改正は、無秩序な危険運転を抑制しつつ、安全な競技・ビジネス環境を整備する転換点となる。
ドリフト走行の法的空白

ドリフト走行は、カーブで意図的に車を横滑りさせる高度なドライビングテクニックだ。派手な見た目から若者を中心に根強い人気があるものの、一般道での強引な走行は後を絶たず、深刻な事故を引き起こしてきた。こうした行為は道路交通の安全を脅かすばかりか、自動車が本来持つ利便性や移動の自由といった価値を損なう。結果として社会的な信頼を低下させる事態を招いている。
法務省は、次期の「自動車運転死傷処罰法」改正において、ドリフト走行を危険運転行為として明確に規定する方針を打ち出した。これまで、ドリフト走行を直接的に危険運転と定義する条文は存在しなかった。重大な事故が繰り返されながらも、法律上の扱いは不明瞭なままだったのである。こうした法の空白は、事故発生時の損害賠償や保険適用の判断を複雑にし、被害者救済や加害者の責任追及を遅らせるリスクを抱えていた。
象徴的な事例がある。2013(平成25)年に京都で発生した事故だ。当時18歳の少年が交差点でドリフト走行を行い、制御不能となってガードレールに衝突した。この衝撃で付近の柵が倒れ、集団登校中だった小学生5人が重軽傷を負う惨事となった。裁判ではドリフト走行が危険運転にあたるかが激しく争われたものの、当時の規定では認められず、過失運転として処理されるにとどまっている。
最終的に自動車運転過失傷害罪が適用され、懲役1年6月以上2年6月以下の不定期刑が確定した。もし危険運転が認定されていれば、危険運転致死傷罪によって、負傷させた場合には
「最長15年」
の拘禁刑が科されていた可能性がある。今回の法改正は、実態と刑罰の乖離を埋め、無謀な運転に対する法的責任を明確にする転換点になるだろう。