「世界最大の見本市」に日本自動車メーカー“ゼロ” CES出展はもはや無意味になったのか? 価値の重心は「車体」から「知能」へ

キーワード :
, ,
CES 2026はもはや自動車の舞台ではない。完成車メーカーの収益中心は依然として販売に依存する一方、電子・ソフトウェア分野の利益率は6%と高水準に維持され、付加価値の重心はサプライヤー側に移行している。この構造変化が、日本メーカーの出展控えを象徴する。

完成車とサプライヤーの利益格差

技術主導のオープンなエコシステムイメージ。
技術主導のオープンなエコシステムイメージ。

 自動車産業全体を振り返ると、完成車メーカーの利益率は長らくサプライヤーを大幅に上回っていた。完成車メーカーの収益は新車販売を基軸とし、ローンやリース、保守サービスが補完していた。産業は新車の買い替え需要によって循環し、収益源を確保していた。

 一方で、車両に搭載される電子部品やソフトウェアは、それ自体が利益を生む源泉ではなく製造コストの一部として扱われ、独自の価値が認められにくい状況が続いていた。

 完成車メーカーを頂点とするピラミッド構造により、サプライヤーの平均利益率は約2%に固定されている。サプライヤーは厳しいコスト圧力の下で利益を生むことに苦労している。独自技術を持っていても価格決定権は完成車側にあり、対等な交渉は難航する。

 毎年の価格改定や生産性還元により、高品質かつ低価格な供給が求められ、納入価格の下落は常態化している。サプライヤーが手がけるソフトウェア開発も、完成車を引き立てるための作業と見なされることが多かった。

 こうした状況下で、サプライヤーがCESに出展する意義は大きい。自社の技術を完成車メーカーの枠組みから解き放ち、独自のソリューションとして広く世界に示す場となるからだ。CESでの展示は、既存の取引関係を超えた販路開拓の機会として位置付けられ、企業の経営方針に沿って実施される。利益構造が安定している間は、この前提が崩れることはなく、CESへの出展は継続されるだろう。

全てのコメントを見る