「ソニー撤退」「EV台頭」 なぜCESは“家電の祭典”をやめたのか? 技術主権の“下剋上”が始まった
2026年1月6日開幕のCESは、家電からEV・自動車関連技術へ軸足が移行。出展企業は1400社のスタートアップも交え、完成品から技術スタックや提携戦略まで価値を競う、新たな産業交渉の場となっている。
「全社表現」の合理性消失

ソニーは、1967年の第1回開催から58年連続でCESに出展し続けてきた。毎年、メイン会場となるラスベガス・コンベンションセンターの同一地点に広大なブースを構え、その圧倒的な存在感によってブランドの象徴としての役割を果たしてきた。
しかし、同社がCES2026からの撤退を決断した背景には、巨大なブースの運営コストに見合うだけの価値を回収できなくなったという現実がある。家電製品の展示が、直接的な利益の押し上げに貢献することを証明しにくくなったのである。
さらに、ソニー自身の事業構造が「家電を大量に販売する」形態から、「エンターテインメントを軸に、コンテンツとそれを支える技術を提供する」形態へと移行したことも大きい。同社の付加価値の源泉は、ゲーム、映画、音楽、エンタテインメント・テクノロジー&サービス、そして半導体の5部門へと移っている。
こうした変化を受け、ソニーによる出展は、本田技研工業との合弁企業である「ソニー・ホンダモビリティ」へと引き継がれる。かつてグループ全体で占拠していた場所は、EV車両という成果物にリソースを集中させる場へと変わる。これは、企業が全事業を一括して誇示する場としてCESを利用する合理性が失われたことを示す象徴的な出来事であり、産業の焦点がハードウェアから特定の機能領域へと絞り込まれた結果といえる。