「ソニー撤退」「EV台頭」 なぜCESは“家電の祭典”をやめたのか? 技術主権の“下剋上”が始まった
2026年1月6日開幕のCESは、家電からEV・自動車関連技術へ軸足が移行。出展企業は1400社のスタートアップも交え、完成品から技術スタックや提携戦略まで価値を競う、新たな産業交渉の場となっている。
コモディティ化する家電
直近の十数年間に、テレビや白物家電を中心とした家電業界は劇的な変化に直面した。平均粗利率は長期的に低下し、機能の多寡はもはや差別化の決め手ではなくなった。代わって価格競争が激化し、CESのような技術を競う場で提示すべき付加価値は希薄化していった。製品を展示することが直接販売に結びつくという関係が崩れたことは、企業をCESから遠ざける大きな要因となった。
同時に、企業が情報を発信する経路は多様化し、CESの存在意義を根底から揺さぶり始めている。自社主催のイベントやオンライン発表、SNSを駆使した直接的な発信により、製品を訴求する場は日常の中に広がった。
年1回の開催を待つ必要性は薄れ、新製品を投入する最適な時期に合わせて情報を届ける方が、認知の獲得において有効かつ効率的である。大規模見本市への出展には莫大な費用を要するため、投資に対する経済的な合理性が保てなくなっている側面は否定できない。
この背景には、消費者の価値観が「所有」から「利用を通じた体験」へと移り変わったことがある。購入した時点で価値が固定される製品は、常に最新の機能が追加されるサービス型の製品にその地位を譲りつつある。ハードウェアを売り切ることで収益を上げるモデルが限界を迎えたことは、産業界全体に共通する課題を浮き彫りにしている。