九州新幹線最大の謎? 普通列車しか停まらない「無人駅」が新幹線駅に変貌した根本理由
西九州新幹線紛糾の漁夫利

九州新幹線のなかでは「小さな駅」に過ぎない筑後船小屋駅が、最近ある事情で注目を集めている。その事情とは、西九州新幹線の建設を巡る紛糾である。
九州新幹線の新鳥栖から分岐し長崎へ向かう西九州新幹線は、2022年9月に武雄温泉~長崎間がフル規格で先行開業した。しかし、残る新鳥栖~武雄温泉間の建設は進んでいない。
理由は、途中の佐賀県にある。西九州新幹線は長崎県に大きなメリットをもたらす一方、佐賀県は博多方面への時間短縮が小さく、建設費負担に加えて並行在来線の第三セクター化による負担増もある。そのため、佐賀県はフル規格の新幹線建設を「割に合わない」として抵抗している。
国やJR九州は従来計画どおり、新鳥栖~武雄温泉間をフル規格で建設したい意向である。しかし、佐賀県の抵抗により、ルート決定さえ進んでいない状況だ。
こうしたなか、久留米商工会議所など福岡県南の7商工会議所で構成する「西九州新幹線福岡県南乗り入れ誘致期成会」は、2025年6月18日に久留米市で決起大会を開催した。
ここで示された「西九州新幹線福岡県南乗り入れ」とは、九州新幹線からの分岐駅を従来計画の新鳥栖駅ではなく、久留米駅または筑後船小屋駅に置き、途中で佐賀空港周辺を通るルートに変更する案である。
この案では、従来計画より遠回りになるものの、久留米市など福岡県南地域の発展や佐賀空港の利活用が期待できるとされる。ただ、筑後船小屋駅から分岐する案は、有明海に大きく食い込むルートとなるため実現はやや難しい。また佐賀空港周辺も高さ制限などで建設が困難とされる。
そもそも、この案自体は西九州新幹線の紛糾がなければ存在しなかった可能性が高い。実現性はともかく、筑後船小屋駅は当面、「広大な公園のなかにある駅」として特異な存在であり続けるだろう。