生活道路「30km制限」は本当に正しいのか?――人命優先か過剰規制か、制度の歪みを問う

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2026年9月、生活道路の法定速度が60kmから30kmに引き下げられる。東京都では歩行者死亡事故の約40%が占めるなど、速度が安全に直結する現実を踏まえ、全国一律改定の背景と課題を検証する。

ルール遵守の現状

歩行者が交通するイメージ(画像:写真AC)
歩行者が交通するイメージ(画像:写真AC)

 歩行者や自転車の安全確保は重要な政策である。しかし、自動車側の制度ばかりが見直される一方で、歩行者や自転車自身の安全対策が十分かどうかは疑問が残る。自動車が注意しても、歩行者や自転車が安全を守らなければ、事故を防ぐのは難しい。交通安全は互いの気づかいや譲り合いによって成り立つものだ。

 実際に歩行者や自転車は交通ルールを守れているのだろうか。信号無視や歩きスマホ・運転スマホ、無灯火など、ルールを破るケースは少なくない。自転車については、2026年4月から「交通反則制度」、いわゆる青切符制度が導入される予定である。

 しかし、単にルールを厳しくするだけでは不十分だ。歩行者や自転車に向けて、交通の重要性や安全意識を伝える取り組みが求められる。日本では自動車教習の機会は多いが、歩行者や自転車に対する教育の機会はほとんどない。事故抑制には、自動車だけでなく歩行者や自転車への教育・指導を増やし、全体の交通意識を高めることが不可欠である。

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