生活道路「30km制限」は本当に正しいのか?――人命優先か過剰規制か、制度の歪みを問う
2026年9月、生活道路の法定速度が60kmから30kmに引き下げられる。東京都では歩行者死亡事故の約40%が占めるなど、速度が安全に直結する現実を踏まえ、全国一律改定の背景と課題を検証する。
法定速度引き下げの影響

私(都野塚也、ドライブライター)は仕事とプライベートで年間約6万kmを走るが、特に地方では道路環境の整備が追いついていない現状を強く感じる。中央線や制限速度の標識がない道路が多く、道幅は片側1車線が確保されているものの、地域の幹線道路に近い道路も少なくない。
今回の法定速度改定では、こうした道路も生活道路とみなされ、法定速度は60kmから30kmに引き下げられる。ルールとしては正しいかもしれないが、実際に走行すると、必ずしも
「利用者の利益」
になっているとは感じられない。
地域の幹線道路は地元住民をはじめ、多くの車両が利用する。曜日や時間帯によっては渋滞も発生する。都市部の渋滞に加え、地域の渋滞が経済活動に影響を与えるケースもある。法定速度の引き下げによって通勤車や物流車両の流れが遅くなれば、経済的な損失につながる可能性もある。
さらに、速度引き下げによる渋滞の増加は、事故やあおり運転、抜け道利用の増加による歩行者との衝突リスクなど、多方面に影響を及ぼす可能性がある。安全性の向上と効率化は一見両立しているように見えるが、実態は異なることもある。道路の円滑な流れと安全性の両立を図るには、道路構造そのものの整備や更新が不可欠である。