世界が追いつけなかった「日産」の真実? リーフとAESCに見る「早すぎた挑戦」の代償とは【リレー連載】頑張っちゃえ NISSAN(6)

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日産はEV先駆者として2010年リーフを投入したが、航続280kmや370万円の高価格が市場の理解を超え、後発組に追い抜かれた。e-POWERやe-4ORCEなど独自技術で快適性を極め、尖り続ける姿勢こそ、日産の真価である。

ラインナップ不足の弱点

日産・新型リーフ(画像:日産自動車)
日産・新型リーフ(画像:日産自動車)

 世界初の量産型EVであるリーフは先駆的だった。しかし技術進化の速さにより、陳腐化も早かった。新しい技術分野では先駆者が先頭に立つが、販売競争では後発組が優位になることもある。

 2017年に2代目リーフが登場したが、初代の2010年から7年が経過していた。この7年間で、後発組はリーフを上回る新技術を搭載したEVを市場に投入した。日産は瞬く間にEVの先駆者から後方集団へと後退したのである。

 さらに、新興EVメーカーの台頭で、ラインナップ不足という弱点が露呈した。テスラは2012年にミドルセダンのModel S、2015年にミドルSUVのModel X、2017年にコンパクトセダンのModel 3、2020年にコンパクトSUVのModel Yと、矢継ぎ早にラインナップを拡充している。他の自動車メーカーもEVのラインナップを整え、リーフ一本では世界的に太刀打ちできない状況が明らかになった。

 バッテリー事業の売却も、結果として痛手となった。現在ではEVの心臓部であるバッテリーの内製化と安定供給が至上命題だ。

「手放すのが早すぎた」

といわざるを得ない。我慢して維持できなかったのは残念なところである。ちなみに日産は電動化戦略の一環として、ハイブリッド車(HV)を中心とした車載用リチウムイオン電池事業を行うビークルエナジージャパンの株式を2022年9月に取得し、連結子会社化している。

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