「オートロックの意味なし」“置き配+再配達ゼロ”社会の実現に潜むセキュリティ懸念! 合意形成の難題を読み解く
宅配便の再配達率は全国平均8.4%。年間5~7億個の荷物が再配達され、コストは約2000億円に上る。再配達削減の切り札として注目される置き配は、利便性向上とCO2削減の潜在力を秘める一方、オートロックや盗難リスクなど現場課題も抱えている。
再配達削減の切り札

国土交通省の最新調査によると、2025年4月時点の宅配便再配達率は全国平均で8.4%となった。2022年10月の10.6%から2.2ポイント改善した計算である。だが、国交省が掲げる目標値6%にはまだ届いていない。
解決策として注目されているのが
「置き配」
の標準化だ。置き配とは、宅配便などの荷物を受取人と直接対面せず、指定した場所に置いて配達を完了させる仕組みを指す。玄関前や宅配ボックス、門扉付近など、安全で受取人が確認できる場所に荷物を置くのが基本だ。
宅配便の基本ルールを定めた標準運送約款でも、玄関先や宅配ボックスへの荷物配達、すなわち置き配の普及が検討されている。
一見すれば、置き配の拡大は再配達率を容易に下げる手段に思える。しかし、現場にはさまざまな課題がある。置き配が標準化された場合、宅配の未来はどのように変わるのか。どのようなリスクが生じ、どのような問題が浮上するのか。議論は始まったばかりである。