新東名「最後の25km」が秘める1.2兆円効果――延期を乗り越え高松トンネルが挑む地質との闘い

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新東名高速道路の全線開通は、東名高速の慢性的渋滞解消と物流効率化に直結する。未開通の約25km区間が開通すれば、東名区間の渋滞損失時間は年間で数百時間削減され、経済効果は約1.2兆円に達すると試算される。山岳地帯の高松トンネルなど難工事を抱えつつも、建設は着実に進行中で、災害時の代替ルート確保や沿線製造業・物流拠点へのアクセス向上など、多方面での効果が期待される。全線開通は地域経済の新たな起爆剤となる。

高松トンネルが阻む工事難所

建設中の新東(画像:写真AC)
建設中の新東(画像:写真AC)

 新東名の未開通区間の進捗をみると、2024年11月時点で用地取得は99%、橋梁は70%、トンネルは79%、土工(山や丘を切り開いたり、谷や低地を盛り土で埋めたりして道路の基盤をつくる工事全般)は49%となっている。

 数値だけを見れば順調に進んでいるように映るが、土工が半分にとどまっている点が示すように、山岳地帯の建設が大きな壁となっている。なかでも最大の難所が高松トンネルだ。

 高松トンネルは中津川西岸の山地を貫く全長約2.9kmで計画されている。問題は地層にある。水を含むと崩壊や膨張の恐れがある凝灰岩が含まれ、大量の水を使うトンネル工事には不向きだ。実際、2022年8月には近くの湯触トンネルで先端部が崩壊する事故が起きている。さらに、事前の地質調査では確認できなかった断層破砕帯が建設中に見つかり、作業はリスクを回避しながら慎重に進められている。

 このような事情から、当初2020年の開通予定は度重なる延期を余儀なくされた。2019年には2023年度へ、2022年末には2027年度へと修正された。管轄するNEXCO中日本は、安全第一を掲げつつ、利用者や沿道自治体、企業からの強い要望に応えるべく工事を加速させる方針を示している。

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