新東名「最後の25km」が秘める1.2兆円効果――延期を乗り越え高松トンネルが挑む地質との闘い

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新東名高速道路の全線開通は、東名高速の慢性的渋滞解消と物流効率化に直結する。未開通の約25km区間が開通すれば、東名区間の渋滞損失時間は年間で数百時間削減され、経済効果は約1.2兆円に達すると試算される。山岳地帯の高松トンネルなど難工事を抱えつつも、建設は着実に進行中で、災害時の代替ルート確保や沿線製造業・物流拠点へのアクセス向上など、多方面での効果が期待される。全線開通は地域経済の新たな起爆剤となる。

東名を救う未開通25km

新東名。開通済みの静岡県区間(画像:都野塚也)
新東名。開通済みの静岡県区間(画像:都野塚也)

 新東名の未開通区間は新秦野ICから新御殿場ICまでの約25kmだ。

 2025年9月現在、この区間は東名を利用するしかない。対象となるのは伊勢原JCTから御殿場JCTまでであり、ここは慢性的な渋滞が発生する。特に大井松田ICから御殿場ICは全国の高速道路の渋滞ランキングで常に上位に入る区間として知られる。

 新東名が全線開通すれば、東名の渋滞緩和につながることが最大の利点だ。また、東名の該当区間では交通量の約4割を大型車が占める。新東名の整備により物流の効率化が進む可能性も高い。

 すでに開通している静岡県内の区間では、東名の富士ICから清水ICが海岸沿いを通っているため、悪天候による通行止めや規制がたびたび発生している。その際には山側を通る新東名が代替ルートとして機能してきた。同じように、未開通区間が開通すれば災害時や緊急時の代替ルートを確保できる点でも大きな意味を持つ。

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