「リッター20円安」で地場ガソリンスタンド壊滅――コストコが暴いた“地域給油網”崩壊の真因とは
員制量販店の参入でリッター20円安の価格破壊が進行。全国の給油所はこの10年で2割減少した。構造的縮小の波の中、既存モデルの限界と価格以外の価値が問われている。地域インフラを再編し、生活の変化に耐えうる機能拠点へと転換できるか――その岐路にある。
「164円ガソリン」の衝撃

2025年4月、山梨県の西部に位置する南アルプス市で会員制量販店「コストコ」が開業し、会員向けにリッター164円(全国平均より20円ほど安い)という破格のガソリン価格を打ち出した。その結果、市内の地場給油所3か所が早々に閉鎖された。日本経済新聞が5月22日、報じた。
この事例は氷山の一角にすぎない。いま日本の燃料流通網は、消費構造の変化、事業モデルの多様化、そして量販店の経済設計の前に根本的な再設計を迫られている。
本稿では、燃料価格の構造に注目し、既存給油所とコストコ型モデルの利潤構造を徹底的に分析する。そのうえで、地域社会における燃料インフラの再編を、単なる価格競争ではなく、持続可能性の視点から評価し、政策と民間投資がとるべき方向を提起する。