大阪万博で「中国製EVバス」不具合頻発! 自動運転未熟&補助金制度の甘さが露呈――業界構造の歪みを問う
大阪万博で注目を集めたEVバスは、190台が導入される一方、自動運転トラブルや補助金制度の甘さが露呈した。国内生産能力と品質管理の強化が、日本の公共交通EV普及のカギとなる。
中国製バスの日本導入史

自動運転システムを搭載するEVバスには、車両側の高い品質も求められる。問題はEVモーターズ・ジャパンのEVバスに、他にも深刻な不具合が報告されていることだ。
筑後市のスクールバス4台では、
・走行中の原因不明の停止
・回生ブレーキの制御不具合
が発生した。始動時にクラクションが鳴るトラブルもあった。同社の他のEVバスでは、制御系統の不具合や部品の損傷・脱落も確認されている。
2025年9月5日の中野洋昌国土交通大臣の会見では、モーターのフランジ破断による駆動輪のロックや横転の可能性も指摘された。日常利用に耐えない問題として、9月3日付で同社に対し、車両全般の総点検、委託製造先の中国メーカーを含めた品質管理体制の見直しが指示された。
こうしたトラブルは重大な人身事故につながる恐れがある。大量導入が進めば、高齢者や障がい者、子どもやその保護者など公共交通利用者への影響も大きい。
EVモーターズ・ジャパンは2019年設立で、わずか数年で全国に300台超のEVバスを納入した。大阪万博の影響もあり、190台が導入されている。
・伊予鉄バス
・那覇バス
・阪急バス
・富士急バス
などの主要事業者にも納車されている。同社は国内生産をアピールするが、実態は
「輸入依存」
である。これらのEVバスは、中国のWISDOM、KINWIN、VAMOといったメーカーが製造する。
比較すると、中国・比亜迪(BYD)のEVバスは500台超が導入されているが、10年以上トラブルは少ない。海外製EVバスの導入は、2008(平成20)年頃はメンテナンス支援体制の脆弱さで敬遠された。しかし支援体制の整備と品質向上により、BYD製バスは日本市場に受け入れられ、各地で利用が増えている。