八王子自動運転バス事故、軽傷3人でなぜ「大騒ぎ」? 日本のゼロリスク志向が招く技術停滞の危機
東京都八王子の自動運転バス事故を契機に、日本の制度は「ゼロリスク志向」が技術導入を遅らせる現実を浮き彫りにした。海外データでは事故件数65%減、けが74%減の実績もあり、改善とリスク許容の両立が急務である。
事故への過剰反応

2025年8月29日、東京都八王子市で自動運転バス(レベル2)が街路樹に接触する事故が起きた。フロントガラスの一部にひびが入り、乗客3人が軽傷を負った。そのうちひとりは病院に搬送された。
当該バスはレベル2でドライバーが同乗し、一部操作を自動化しているタイプである。この事故を受け、青森県むつ市は9月2日から予定していた自動運転バスの試験走行を延期した。八王子市と同じ業者がむつ市の事業にも参画しており、安全性確保を優先するためだという。
一方で、自動運転バスに関しては、事故件数や被害規模に比して、日本社会が過剰に反応している印象もある。人命が最優先であることはいうまでもない。被害に遭った人にはお見舞いを申し上げたい。しかし、
「軽傷程度の事故で過剰に騒ぐ必要があるのか」
という指摘は海外の交通研究者からも出ている。技術進展の現場では、思考や行動が極度に停止する状況も問題になり得る。国内における反応は、インターネット時代の情報拡散とも無縁ではない。冷静な議論と安全確保のバランスが求められる。