八王子自動運転バス事故、軽傷3人でなぜ「大騒ぎ」? 日本のゼロリスク志向が招く技術停滞の危機

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東京都八王子の自動運転バス事故を契機に、日本の制度は「ゼロリスク志向」が技術導入を遅らせる現実を浮き彫りにした。海外データでは事故件数65%減、けが74%減の実績もあり、改善とリスク許容の両立が急務である。

技術導入阻害の要因

労組と経営者のイメージ(画像:写真AC)
労組と経営者のイメージ(画像:写真AC)

 今回の八王子事故をはじめ、自動運転バスに関するSNSやインターネット上のコメントを振り返ると、生活者のさまざまな懸念が浮かび上がる。研究者の立場で分析すれば、自動運転バスの実証実験はまだ十分に進んでいるとはいえない。計画策定やリスク回避に時間がかかり、開始までの期間が長引く傾向がある。

 公共交通事業者の内部での反発も見られる。具体的には

「労働組合との合意形成」

に時間がかかり、雇用喪失の懸念がバス事業者の実験参加を遅らせる場合がある。要は、実験参加の議論自体が技術導入の阻害要因になっているのだ。

 さらに、自家用車利用者の警戒も存在する。自動運転バスとの道路共有リスクや事故責任の不明確さへの不安が目立つ。

「自動運転は怖い」

という一般心理も、インターネット上で見受けられる。背景には、技術理解を深める教育の不足もある。日本では文系を含め、技術と社会・生活の関連性を考える教育の場が少ない。このことが、自動運転に対する関心の薄さにつながっている。

 加えてSNSや一部メディアによる誤情報拡散も、不安を増幅させる要因となる。アイサンテクノロジー(愛知県名古屋市)の虚偽関与報道などが典型例だ。このように、さまざまな要因が自動運転に対するマイナス要素として作用している。日本はこうした状況からの脱却が求められる。

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