「カーシェア付きマンション」は成功か失敗か? 空き率15%の都市部駐車場「約3割」現実から考える

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都市部マンションの駐車場空き率は平均15%超。収益化と居住者利便性を両立する「カーシェア付きマンション」が注目され、31,235ステーション・会員469万人の拡大市場で成功の条件が問われる。

駐車場収益化の新潮流

カーシェアのイメージ(画像:写真AC)
カーシェアのイメージ(画像:写真AC)

 カーシェア付きマンションの成功には複数の要素が必要だ。まず財務基盤を明確にし、収支を詳細に試算することが不可欠である。カーシェアは遊休駐車区画を収益化できるが、契約者の解約や収入減の可能性もある。そのため、

・差分収支の見積もり
・利用率予測
・事業者との収益分配

を組み込んだ検証モデルが必要となる。

 住民の理解も重要である。導入に前向きな層と反発する層の双方に配慮し、客観的データを示して合意形成を進める必要がある。

 交通エコロジー・モビリティ財団の2025年3月時点の調査によると、カーシェアリングのステーション数は3万1235か所、貸渡車両数は8万4887両に達しており、前年を上回る伸びを示している。さらに、2024年3月時点の会員数はおおよそ469万人であり、増加傾向にあると考えられる。

 加えて、環境エネルギー政策研究所の報告では、公用車を電気自動車(EV)化した自治体が休日などに一般向けカーシェアとして提供する「EV公用車カーシェアリング」を実施している。官民連携を通じたEV活用の動きも始まっている。

 Mobility as a Service(MaaS)の進展により、移動手段の選択肢は増えている。管理組合は受け身で競合サービスに流されるのではなく、モビリティ提供側として戦略的に収益機会を掴む視点が求められる。

 将来性を見込み、利便性向上や駐車場の空き率問題の解決につながる「カーシェア付きマンション」。ユーザーや地域の特性、住民のライフスタイルに寄り添い、柔軟なサービス設計を行うことが重要だ。長期的な収支バランスを見据えた運営体制の整備が、今後の成功のカギとなる。

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