「カーシェア付きマンション」は成功か失敗か? 空き率15%の都市部駐車場「約3割」現実から考える
都市部マンションの駐車場空き率は平均15%超。収益化と居住者利便性を両立する「カーシェア付きマンション」が注目され、31,235ステーション・会員469万人の拡大市場で成功の条件が問われる。
導入障壁と解決策

カーシェア付きマンションの導入には多様な制約がある。なかでも重大な課題は
「オープン型カーシェアの設置条件」
であり、導入の最大の障壁となっている。ほかにも障害は多いが、この構造的制約が根本を縛っている。
例えばタイムズカーでは、設置場所は平面または自走式駐車場であることが条件だ。オートロック内や機械式駐車場などセキュリティエリア内からは原則設置できない。例外運用はあり得るが、外部から直接アクセス可能な駐車場を備えない物件では、オープン型カーシェアの導入は現実的に難しい。
都心部では駐車スペースが希少で、外部利用可能な区画はさらに限られる。そのため居住者限定のクローズ型カーシェアの採用が増えている。しかし、この方式では契約形態によって管理組合が車両の調達や維持費を負担する場合がある。利用対象が限定されるため、稼働率の向上も難しい構造上のリスクが残る。
新築分譲時にカーシェア設備を導入する場合、契約更新時に車両の入れ替えや維持費負担が問題になるケースもある。これに対し、大和ライフネクストの『ふらっとカーシェア』は月額1万9800円(税込)でガソリン、保険、車両メンテナンスをすべてカバーする。管理組合への負担を抑えつつ、収支安定と入居者利便性向上を同時に実現できる可能性がある。また、
「見知らぬ利用者が敷地内に入るのは心配」
「共用部でのマナー違反が起きないか」
といった懸念は、オープン型特有の合理的な不安である。これには、設置場所を建物外の屋外区画に限定し、防犯カメラや利用者認証システムを併設することで対応できる。