日曜夜9時、東京駅ホームはなぜ「恋人たちの舞台」になったのか――80~90年代「シンデレラ・エクスプレス」が描いた週末ドラマとは

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民営化直後のJR東海は知名度不足に直面した。週末の最終列車ホームを舞台に、年間65回放送のCMと駅ポスターで地域認知を急速に浸透させた戦略は、遠距離恋愛という共感演出とメディア連動を両立させ、都市と地方のブランド格差解消にも寄与した。

エクスプレス戦略進化

シンデレラ・エクスプレスのイメージ(画像:写真AC)
シンデレラ・エクスプレスのイメージ(画像:写真AC)

 CM開始後、日曜日限定で「ひかり289号」は100系運用に変更された。折り畳み時刻表には「シンデレラ・エクスプレス」と記載され、松任谷由実の楽曲をアレンジした車内チャイムも導入された。

 その後、増備により100系は毎日運用されるようになり、東京~新大阪間の所要時間は当時最速の2時間49分に短縮された。

 1992(平成4)年、最終列車は「のぞみ303号」(21時18分発)に変更され、第2作目のCMが制作された。このバージョンでは300系が使用され、「エクスプレス」シリーズで唯一登場した。

 好評を受け、JR東海は

・アリスのエクスプレス
・プレイバック・エクスプレス
・ハックルベリー・エクスプレス

など、一連のシリーズCMを展開した。シリーズは1992年に一度終了する。

 2000年には「クリスマス・エクスプレス2000」として、1年限定で復活を果たした。

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