赤字2.9億円、ほぼ観光依存…「静岡の地方鉄道」独自戦略で再起は可能なのか?

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大井川鐡道は全長65kmの「鉄道テーマパーク」として観光輸送に依存し、本線運賃収入の96%を占める。しかし鉄道事業は年2.9億円の赤字。その他事業の黒字8328万円が支え、復旧待ちの不通区間を抱えつつも、収益構造の強靭さが際立つ。

独自型の鉄道ビジネス

11月21日より営業運転を再開する蒸気機関車C10形8号機(画像:大井川鐡道)
11月21日より営業運転を再開する蒸気機関車C10形8号機(画像:大井川鐡道)

 大井川鐡道は、JR東海本線と接続する金谷駅と千頭(せんず)駅を結ぶ本線39.5kmと、千頭駅と井川駅を結ぶ井川線25.5kmで構成される、全長65.0kmの地方私鉄である。両線は地図上では一本の線としてつながるが、車両寸法などが大きく異なるため、別路線として運行されている。

 1976(昭和51)年に日本で初めてSLの動態保存を開始したことで知られる。SLブームの火付け役となり、その後も観光列車を次々に導入した。長大で過疎化が進む路線でありながら、観光輸送で運賃収入の大部分を賄う特異なビジネスモデルで、一目置かれる存在だった。

 しかし2011(平成23)年以降、東日本大震災などの影響で団体客が減少した。さらに2013年8月に施行された貸切バスの走行距離規制強化により、観光客の多くを運んでいたツアーバスが大幅に減少し、経営は危機に陥った。

 2015年には北海道でホテル事業を手掛けるエクリプス日高が支援に乗り出した。さまざまな観光ツアーを実施するなどのテコ入れ策が功を奏し、一時的に黒字を計上するまでに復活した。

 しかし不運は続く。2020年以降のコロナ禍で観光客は激減し、2022年には台風の被害で本線の川根温泉笹間渡(ささまど)~千頭間が寸断された。同区間は現在も不通で、経営に大きな打撃を与えている。2025年3月、静岡県と沿線の島田市・川根本町が復旧費用の一部支援を表明。2029年春の全線開通を目指している。

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