1994年「海底火山の大噴火」 虚偽通報が暴露した、海上保安庁・メディアの大混乱
海上の緊急通報「118番」のうち、実に約99%が緊急性を欠く迷惑通報で占められている。2024年には第3管区海上保安本部管内だけで約16万9,000件の通報が寄せられたが、その多くが無言電話やいたずらであり、現場の資源浪費を招いている。1994年の明神礁虚偽通報事件は、こうした問題を象徴的に示した。
遠隔地と誤報の連鎖

2月19日付『産経新聞』朝刊は、いたずら電話による大騒動の経緯を詳報した。いたずら電話の主は非常に巧妙で、青ヶ島役場の担当者は通報を信じ込んだという。
島の人口はわずか210人で、全員の声が判別可能だ。電話の声を聞いて、まず島民でないと判断した。さらに「太地雪雄」の「タイチ」の字の説明時に「和歌山県太地町の~」とスラスラ答えられたため、まさかいたずらとは思わなかった。担当者は「こういう情報提供は初めてでこちらも無防備だったと反省している」と振り返っている。
加えて、現場が遠隔地で確認が難しかった点も影響した。海上保安庁は、飛行機が現場へ向かう最中の12時10分にニュースリリースを出した。新聞各社も夕刊締め切り間際で、急いで第1報を掲載せざるを得なかった。
第五海洋丸の遭難事故が広く知られていたこともあり、一刻も早く危険を知らせる使命感が関係者の間で強かった。こうした連鎖が、一本のいたずら電話をきっかけに大騒動を引き起こしたのだった。