1994年「海底火山の大噴火」 虚偽通報が暴露した、海上保安庁・メディアの大混乱

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海上の緊急通報「118番」のうち、実に約99%が緊急性を欠く迷惑通報で占められている。2024年には第3管区海上保安本部管内だけで約16万9,000件の通報が寄せられたが、その多くが無言電話やいたずらであり、現場の資源浪費を招いている。1994年の明神礁虚偽通報事件は、こうした問題を象徴的に示した。

明神礁噴火に走る報道各社

青ヶ島役場の位置(画像:(C)Google)
青ヶ島役場の位置(画像:(C)Google)

 過去の事故を踏まえ、海底火山が噴火した際には迅速な状況把握が求められる。航行中の船舶が巻き込まれるリスクを回避するためだ。

 冒頭の1994年当時、青ヶ島役場は八丈島の八丈支庁総務課に噴火の可能性を通報した。支庁の職員が双眼鏡で海を確認したが、噴煙は見えなかった。ただ、現地確認ができない以上、報告を放置するわけにはいかない。

 情報は都庁の災害対策部に上がり、さらに海上保安庁、消防庁、気象庁へと共有された。通報内容は「未確認ではあるが噴火の報告があった」というものだった。

 通報は午前中で、ちょうど新聞の夕刊締切前の時間帯だった。結果、明神礁の噴火は当日の主要紙夕刊で一斉に報じられた。

「伊豆諸島の明神礁、噴煙500m 24年ぶり海底爆発?」(毎日新聞)
「伊豆諸島南方の明神礁が噴火か 海保確認急ぐ」(読売新聞)
「八丈島南方の明神礁周辺で海底爆発か 漁船が目撃」(朝日新聞)

報道と同時に、海上保安庁は輸送機「YS-11」を派遣。海上自衛隊も哨戒機「P-3C」を出動させた。

 新聞社やテレビ局も慌ただしく動いた。各社がチャーター機を手配し、現地上空に殺到。未曾有の空中取材合戦が展開された。

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