1994年「海底火山の大噴火」 虚偽通報が暴露した、海上保安庁・メディアの大混乱
海上の緊急通報「118番」のうち、実に約99%が緊急性を欠く迷惑通報で占められている。2024年には第3管区海上保安本部管内だけで約16万9,000件の通報が寄せられたが、その多くが無言電話やいたずらであり、現場の資源浪費を招いている。1994年の明神礁虚偽通報事件は、こうした問題を象徴的に示した。
噴火通報の「空振り劇」

ところが、当日の夜に第三管区海上保安本部(横浜)が調査結果を発表したことで、状況は一変した。
現場に急行したYS-11は、13時40分からの30分間にわたって上空から調査を実施したが、噴煙はまったく確認できなかった。他の航空機による観測でも同様の結果だった。
海上保安庁は、通報を行った船舶とされる「第一大和丸」に連絡を取ろうとしたが、船の存在自体が確認できなかった。静岡県内の漁協にも、該当する通報者はいなかった。
この発表を受けて、翌日の全国紙は一斉に論調を変えた。
「爆発の確認できず--「明神礁」再調査」(毎日新聞)
「「明神礁爆発を目撃」はイタズラ? 海底噴火の形跡なし/海上保安庁」(読売新聞)
「明神礁の活動、確認ができず」(朝日新聞)
もともと、海底火山の爆発報告には「雲との誤認」など誤報が多く、実際に噴火がないことを証明する調査も必要とされている。
海上保安庁は万が一に備え、翌2月17日にも再調査を実施。しかしこの日も噴火の形跡は見られず、最終的に通報は悪質な虚偽情報と判断された。