1994年「海底火山の大噴火」 虚偽通報が暴露した、海上保安庁・メディアの大混乱

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海上の緊急通報「118番」のうち、実に約99%が緊急性を欠く迷惑通報で占められている。2024年には第3管区海上保安本部管内だけで約16万9,000件の通報が寄せられたが、その多くが無言電話やいたずらであり、現場の資源浪費を招いている。1994年の明神礁虚偽通報事件は、こうした問題を象徴的に示した。

「虚偽通報」が招く混乱

明神礁の火山活動。1952年9月23日撮影(画像:海上保安庁)
明神礁の火山活動。1952年9月23日撮影(画像:海上保安庁)

 海上の事件・事故を通報する「118番」への通報のうち、99%が緊急性のない内容で占められている。こうした現状を受け、第3管区海上保安本部は2025年3月、実際に寄せられた迷惑通報の音声を動画で公開し、適切な利用を呼びかける取り組みを始めた。

 第3管区は、関東1都6県のほか、静岡県と山梨県を管轄している。2024年に同管区に寄せられた118番通報は約16万9000件に上ったが、その大半は無言電話やいたずらなど、出動を要さない内容だった(『NHK』2025年3月5日付け)。

 いたずら電話による混乱は、過去にも繰り返されてきた。なかでも象徴的なのが、1994(平成6)年に発生した海底火山の虚偽通報事件だ。

 2月16日23時38分、伊豆諸島の有人島としては最南端にある青ヶ島の役場に一本の電話が入った。名乗ったのは「焼津の第一大和丸に乗っている太地雪雄」という人物。声の印象は30歳前後の男性だった。内容はこうだった。

「明神礁(みょうじんしょう)付近で21時ごろ海底爆発を目撃した。噴煙が500mから600m上がり、爆発音を聞いた。様子をしばらく見ていた」

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