能登地震515人犠牲の教訓――「逃げ遅れゼロ」は実現できるのか? スマホ2500台充電の池袋バスに集まる期待とは

キーワード :
, , ,
巨大地震や頻発する災害で避難が困難な現状に対応し、新たな防災モデル「フェーズフリー」が注目を集める。日常と災害時の境界をなくし、AIやモビリティ技術を活用して逃げ遅れゼロを目指すこの取り組みは、自治体や企業の実証実験を通じて急速に普及しつつある。今後は法整備やインフラ強化が鍵となり、新たな市場拡大と防災力強化が期待されている。

進む避難保険の実証実験

 前述のイケバスは2019年11月に運行を開始した。当初は新型コロナウイルス感染症の影響で観光需要が低下し、利用者が減少傾向にあった。しかし、2021年10月1日以降、利用者数が大幅に増加している。これは池袋駅東口周辺の所要時間短縮を目的とした路線変更や、報道による認知度向上、保育園児の送迎事業などが影響していると考えられる。

 避難保険は2019年9月から県立広島大学と共同研究を開始し、実証実験を経て2021年10月にサービス提供を始めた。災害時の避難にともなう特有のリスクや対策を検証し、その知見をもとに保険プランと関連サービスを開発した。送迎費用や宿泊費用の保証を想定し、地域特性を踏まえて自治体ごとに個別設計が可能である。

 富士通の交通サービスでは、広島県大崎上島町と福島県伊達市で実証実験が公開されている。検証結果は、利用者や地域の特性に応じた移動需要に対応可能であることを示した。また、電気自動車(EV)車両の普及促進も目指しており、災害時の燃料コスト削減や電力供給としての活用も期待されている。

 これらの検証結果は、フェーズフリー市場の成長を促すだけでなく、災害時の「逃げ遅れゼロ」実現に向けた取り組みの後押しとなるだろう。

全てのコメントを見る