能登地震515人犠牲の教訓――「逃げ遅れゼロ」は実現できるのか? スマホ2500台充電の池袋バスに集まる期待とは
巨大地震や頻発する災害で避難が困難な現状に対応し、新たな防災モデル「フェーズフリー」が注目を集める。日常と災害時の境界をなくし、AIやモビリティ技術を活用して逃げ遅れゼロを目指すこの取り組みは、自治体や企業の実証実験を通じて急速に普及しつつある。今後は法整備やインフラ強化が鍵となり、新たな市場拡大と防災力強化が期待されている。
高齢化で進む移動手段喪失
2024年1月1日、石川県能登地方を震源とする能登半島地震が発生した。この地震では、活断層の上下運動が大きく、輪島市門前町吉浦の海岸では地盤が約5.5m隆起したことが確認されている。
土砂崩れや地盤の亀裂によってアクセス道路が寸断され、木造住宅の倒壊や火災も相まって、多くの住民が避難できずに取り残された。
通信網の寸断も深刻だった。被害状況の把握が遅れ、情報不足によって救助や救急活動の初動が大幅に遅延した。
さらに、地震発生後には、2次避難の加速や交通インフラの脆弱化が地域に打撃を与えた。
・ドライバー不足
・路線バスの減便
・タクシー事業者の廃業
が相次ぎ、一部地域では「交通空白地帯」が生まれている。
こうした状況のなか、後期高齢者世帯の移動困難も表面化している。自家用車を持たず、公共交通へのアクセスも限られるケースが増加中だ。
警察庁が2015(平成27)年に公表した「運転免許証の自主返納に関するアンケート調査結果」によれば、約480万人の免許保有者のうち、すでに約12万人が返納していた。今後、返納者の数はさらに増えると見込まれている。