能登地震515人犠牲の教訓――「逃げ遅れゼロ」は実現できるのか? スマホ2500台充電の池袋バスに集まる期待とは
巨大地震や頻発する災害で避難が困難な現状に対応し、新たな防災モデル「フェーズフリー」が注目を集める。日常と災害時の境界をなくし、AIやモビリティ技術を活用して逃げ遅れゼロを目指すこの取り組みは、自治体や企業の実証実験を通じて急速に普及しつつある。今後は法整備やインフラ強化が鍵となり、新たな市場拡大と防災力強化が期待されている。
災害対応を阻む通信障害

2024年に発生した能登半島地震において、国土交通省北陸地方整備局が「道路啓開計画」を策定していなかったことが判明した。
道路啓開とは、災害発生直後に緊急車両の通行を確保するため、最低限の瓦礫撤去を行う初動対応を指す。本格的な道路復旧に先立ち、迅速に救援ルートを確保する目的がある。この計画は、被災時に職員が即座に動けるよう、あらかじめ作業手順や対応ルール、必要資材の調達方法などを明文化しておくものである。
今回、北陸地方整備局が未策定だったことで、ルート選定や資機材・人員の確保が遅れ、初動対応にも遅れが生じた可能性がある。道路啓開計画を策定していない地域はほかにも複数存在する。今後は全国レベルで計画の整備と標準化を進める必要がある。
通信インフラの脆弱性も露呈した。地震直後には、NTT西日本の通信ビルが停電し、土砂崩れによる中継回線やケーブルの損傷も発生。これにより固定回線サービスは広範囲で停止し、多くの住民が3日以上インターネットを使えない状況に置かれた。リアルタイムでの情報取得が困難となり、救援や避難誘導にも影響を与えた。加えて、地方自治体が抱える財政制約も、初動対応の障壁となっている。
こうした課題を踏まえ、各自治体にはフェーズフリー視点を取り入れた復旧計画の策定が求められる。平常時から災害モードへの即時移行を可能にする設計により、対応コストの最小化と初動遅延の抑制が期待される。あわせて、通信ビルへの電力確保や断線区間へのケーブル敷設も平時に準備を進めることで、災害後の復旧力が高まる。