能登地震515人犠牲の教訓――「逃げ遅れゼロ」は実現できるのか? スマホ2500台充電の池袋バスに集まる期待とは

キーワード :
, , ,
巨大地震や頻発する災害で避難が困難な現状に対応し、新たな防災モデル「フェーズフリー」が注目を集める。日常と災害時の境界をなくし、AIやモビリティ技術を活用して逃げ遅れゼロを目指すこの取り組みは、自治体や企業の実証実験を通じて急速に普及しつつある。今後は法整備やインフラ強化が鍵となり、新たな市場拡大と防災力強化が期待されている。

脱・非常時の「日常防災」戦略

フェーズフリー協会のウェブサイト(画像:フェーズフリー協会)
フェーズフリー協会のウェブサイト(画像:フェーズフリー協会)

「フェーズフリー」とは、日常時と災害時という“フェーズ(段階)”の垣根をなくすという概念である。日常使いのサービスや施設が、災害時にもそのまま機能することで、社会全体の災害対応力を底上げできるとされる。

 現在、この考え方は自治体や民間企業など幅広い分野に浸透しつつある。公共空間や交通、宿泊などさまざまな領域でフェーズフリー化が進んでいる。

 東京都豊島区では、住民の防災ニーズを起点に生まれた

・イケ・サンパーク
・イケバス

が注目されている。

 イケ・サンパークは、日常では誰もが使える憩いの場であり、散歩やスポーツが楽しめる都市型公園として機能している。一方で、災害時には一時避難場所やヘリポート、物資集積拠点として活用できる設計となっている。

 またイケバスは、普段は池袋周辺を巡回する路線バスとして運行されている。災害発生時には移動式の電源車として活用できる。満充電状態であれば、スマートフォン約2500台分の充電が可能なほか、非常用照明としても機能する。

 民間企業の動きも加速している。千葉県市川市に本社を構えるデベロップは、コンテナ型のモバイルホテルを展開中だ。この施設は日常時には通常のビジネスホテルとして利用されている。災害発生時には、現地に直接移設し、仮設の宿泊施設として機能する。各客室はトラックで輸送できるコンテナ型構造で、土地の形状や広さに柔軟に対応できるモビリティ性能を備えている。

 こうしたフェーズフリー発想のサービスが社会に定着すれば、新たな防災市場の形成とともに、関連産業の市場拡大も見込まれる。

全てのコメントを見る