能登地震515人犠牲の教訓――「逃げ遅れゼロ」は実現できるのか? スマホ2500台充電の池袋バスに集まる期待とは
巨大地震や頻発する災害で避難が困難な現状に対応し、新たな防災モデル「フェーズフリー」が注目を集める。日常と災害時の境界をなくし、AIやモビリティ技術を活用して逃げ遅れゼロを目指すこの取り組みは、自治体や企業の実証実験を通じて急速に普及しつつある。今後は法整備やインフラ強化が鍵となり、新たな市場拡大と防災力強化が期待されている。
富士通が描く避難支援モデル
富士通は、あいおいニッセイ同和損害保険と共同で「フェーズフリーアワード2023」に事業コンセプトを応募した。主催はフェーズフリー協会。両社の提案はアイデア部門で最高賞となるGold賞を受賞した。
受賞対象は「フェーズフリーMaaS」と名付けられた事業コンセプトである。平時には、交通空白地における交通弱者向けに、タクシーやバスの予約・配車サービスを提供する。加えて、AIによって最適な移動ルートを提案する機能も備える。
災害時には、リアルタイムで取得する災害情報・SNS投稿・現場報告と連携。これらのデータを元に、AIが最適な避難ルートを自動算出し、運転手が安全かつ効率的に避難所へ送迎できる仕組みを構築する。
さらに、あいおいニッセイ同和損保の自治体向け保険商品「避難保険」と連携。送迎費用や宿泊費など、災害時に発生するコストを保険でカバーする。これにより、利用者や運転手の負担を軽減するとともに、自治体の財政的負担も平準化できる。特筆すべきは、早期に避難行動を起こした住民に対して、高級ホテルなどを避難所とするインセンティブの導入も検討している点である。
富士通は、複数の自治体とともにMaaSの実証実験も進めている。これらの実績と受賞を契機に、フェーズフリーMaaSの全国的な導入拡大が期待されている。