新型リーフは「BYD」に勝てるのか? 累計70万台の重みと600km超の性能――それでも揺らぐ“再建の突破口”の本質

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2025年6月17日、日産が約8年ぶりに発表した新型リーフは、累計70万台、走行距離280億km超の実績を持つモデルの系譜を継ぐ。航続距離600km超、急速充電35分など技術革新を果たした一方、BYDやテスラ、フォルクスワーゲンとの激しい競争環境に直面している。価格やバッテリー調達、販売戦略の不透明さが課題となるなか、新型リーフが日産の経営再建の中核を担うかは、今後の市場動向と経営戦略の整合性にかかっている。

競争力を左右する価格の行方

日産栃木工場(画像:日産自動車)
日産栃木工場(画像:日産自動車)

 新型リーフに搭載される充電ポートは市場ごとに異なる。日本仕様はCHAdeMO、北米仕様はNACSを初採用し、欧州仕様はCCSとなる。NACSはテスラのスーパーチャージャーと互換性があり、充電利便性が大幅に向上する。

 一方、日産は自社によるEV充電網の構築を事実上放棄した。他社インフラに依存する戦略に大きく舵を切った形だ。北米仕様では助手席側(右側)にNACSポート、反対側に低速充電用ポートを配置する。充電器の種類によって使用するポートが異なる設計だ。

 EVでは一般的に、OTA(Over the Air)による無線通信で車載ソフトが自動更新される。システムは常に最新状態に保たれ、車両寿命の延伸につながる。保有期間が長期化すれば、再販や買い替えのタイミングは後ろ倒しになる。

 この構造は、従来のハード売り切り型ビジネスモデルと根本的に相容れない。ユーザーの買い替えサイクルが鈍化すれば、メーカーの販売機会は減少する。EVがプロダクトからサービスへと変質するなか、日産がこの転換点にどう向き合うかが問われている。

 新型リーフは日本の栃木工場と英国サンダーランド工場で生産される。一方、福岡県に計画していた国内電池工場は見送られた。安価なバッテリーの内製を断念し、外部調達に切り替えた判断は、コスト競争力の面で今後足かせとなる可能性がある。状況次第では、国内電池工場を断念した是非が再び問われるだろう。

 さらに、トランプ政権による対日関税の見直しをめぐり日米協議が続いているが、依然として合意に至っていない。米国向けリーフは日本から輸出されるが、現時点で長期的なコスト優位を確保する体制は整っていない。こうした点からも、日産の生産戦略には機能不全が露呈しつつある。

 新型リーフの価格など詳細は、販売開始時期に合わせて各市場で発表される予定だ。現時点で日産が詳細な発表を控えたことは、社内でのコスト検証が完了していない可能性を示唆する。

 一定の販売ボリュームを確保するには、競争力のある価格設定が不可欠だ。車両単体で採算が取れ、市場競争力と両立できるかを見極める必要がある。最大の変数である価格が未知の今、新型リーフが日産の経営再建の「突破口」となるかは依然として不透明だ。

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