軍事オタク記事が「ネットニュース」で超読まれる根本理由――孤立した関心がスマホで暴走? 見えない需要を可視化する

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ネット上で軍事趣味の記事が突如トップランキングに躍り出る現象は、現実社会の会話とは乖離した関心の偏在を映し出す。2023年には個人の86.2%がインターネットを利用し、動画やSNSが日常の情報接点となるなか、「語りづらい関心」がネット空間で活発に可視化されている構造的背景に迫る。

実社会と乖離する閲覧トレンドの正体

軍事イメージ(画像:写真AC)
軍事イメージ(画像:写真AC)

 横浜駅近くの雑居ビル1階にある、居酒屋での出来事だった。数年前の秋、大学時代の友人と数年ぶりに再会し、日本酒を手に昔話に花を咲かせていた。彼は大手メーカーに勤める研究職で、技術開発一筋の真面目な男だ。

 会話が一段落したところで、筆者はふとスマートフォンを開き、ヤフーニュースのランキングを確認した。

「軍事系の記事が1位になってるな」

画面には、軍事趣味向けの記事が表示されていた。タイトルには刺激的な言葉が並んでいた。その瞬間、友人の表情が曇った。

「安全保障の話ならともかく、これは完全に趣味の話だろ? 俺たち、学生時代も今も、軍事なんて話題にしたことないよね。仕事でも聞いたことがない。そんな記事が1位になるなんて、ネット空間って少し歪んでないか?」

驚きと戸惑いがその言葉ににじんでいた。芸能人の不倫でも、国会の醜聞でもない。現実世界のどの会話にも出てこない、ニッチな軍事趣味の記事が、なぜネット上で最も読まれているのか。筆者自身、その場では明確な答えを出せなかった。ただ、妙な違和感だけが残った。

 なぜ、誰も語ったことのない話題が、可視化され、消費されているのか。この現象の背景をたどることで、私たちが暮らす「情報の都市」の地図が見えてくるのかもしれない。

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