軍事オタク記事が「ネットニュース」で超読まれる根本理由――孤立した関心がスマホで暴走? 見えない需要を可視化する
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仮説2「偏在的な発信構造」

SNS上の熱狂と現実社会の温度感は、大きく乖離している。SNSで盛り上がっている話題でも、現実の場では社会現象として認識されていないことが少なくない。
2025年5月時点での、日本における主要SNSの月間アクティブユーザー数は以下の通りである。
・LINE:9800万人
・YouTube:7120万人
・X(旧Twitter):6700万人
・Instagram:6600万人
・Facebook:2600万人
なかでもXでは議論が活発に行われており、ユーザー数は日本の人口の半数を超える規模となっている。もはや「少数派」とは呼べない水準だ。
ただし注意すべきは、「利用していること」と「発信していること」はまったく別物だという点である。総務省『令和5年通信利用動向調査』によれば、インターネット利用者のうちSNSの利用率は80.8%に達している。
この数字にはLINEも含まれている。LINEは主に連絡手段や通話アプリとして定着しており、その広範な普及が利用率全体を押し上げている点には留意が必要だ。
また、この利用率には「見る」「読む」「いいねを押す」といった受動的な行動も含まれる。ニュースをチェックしたり、動画を視聴したり、友人の投稿に反応したりする──こうした日常的行為が大半を占める。一方で、自ら投稿し議論に加わるような能動的な層はごく一部にとどまる。
SNSに関する10万人大規模調査(田中辰雄・浜屋敏)によれば、以下のような傾向が明らかになっている。
・ネット上で過激化しているのは主に高齢者
・投稿の約半数は「0.23%」の人々によって行われている(約435人に1人)
・接触する論者の約4割は、自分と反対の政治傾向を持っている
発信型ユーザーは、単なる閲覧者とは異なる。関心領域に対して高い集中力を持ち、「語りたい」「伝えたい」という意志が明確だ。言葉やリンク、画像などを使って自分の関心を表現しようとする傾向が強い。
実際、SNSを定期的に利用している人は多いが、そのなかで継続的に発信する層は限られている。2016年のリクルートライフスタイルの調査によれば、月1回以上SNSを利用する人は60.2%。そのうち、食事や外食の写真を投稿した経験がある人は27.7%。さらに、1日1回以上投稿する“常連投稿者”は7.8%に過ぎなかった。
現在では多少の変化があると考えられるが、それでも「発信するユーザー」は少数派であり、そのごく一部が高頻度で投稿を続けている構図は変わらない。この偏在がSNS空間における言説の偏りを生み出している。
軍事趣味の分野は、このSNS構造との親和性がきわめて高い。関心を持つユーザーは、関連情報を見つけ、反応し、共有するだけでなく、詳細なコメントを書き込むことも多い。彼らの投稿頻度と熱量は、たとえ母数が少なくても、SNS上での可視性やコンテンツのランキング構造に強い影響を与えている。軍事系コンテンツが目立つ理由は、このような「偏在的な発信構造」によって説明できる。