日産、採算度外視の「切り捨て」か? NV200バネット生産終了・湘南工場閉鎖が示す、高収益化への「痛すぎる決断」

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日産自動車は国内外6拠点の工場閉鎖を含む再建計画「Re:Nissan」を発表し、70年以上の歴史を持つ湘南工場の閉鎖と商用車「NV200バネット」の生産終了を決断した。固定費高騰や市場縮小を背景に、収益性低い車種の整理を進める日産の戦略転換は、国内生産の集約と高付加価値車種への資源再配分を加速させる。今後の事業構造の変化と地域経済への影響を読み解く。

湘南工場という「構造余剰」

日産車体・湘南工場 (画像:日産車体)
日産車体・湘南工場 (画像:日産車体)

 湘南工場は、日産車体の前身・新日国工業が1951(昭和26)年9月にパトロールの生産を開始して以来、70年以上稼働してきた歴史ある拠点だ。1969年からはフェアレディZの生産を担い、1984年には累計100万台を達成している。

 NV200バネットの生産は2009(平成21)年5月に始まり、すでに15年が経過している。工場の設備は老朽化が進んでおり、扱う車種も限られていた。このため、経営再建計画「Re:Nissan」において、閉鎖候補として俎上に載った。

 湘南工場はこれまで、商用車のほかキャラバン、エルグランド、セレナなどの多品種・少量生産に依存してきた。しかし、生産ポートフォリオは限界を迎えていた。

・稼働率の低下
・保守費用の増加
・物流距離の長さ

といった複合的な課題が、最適化戦略からの除外を決定づけた。

 国内の商用車市場を見ると、商用バンはトヨタ・ハイエースの独壇場であり、軽バンはダイハツやスズキが圧倒的なシェアを持つ。かつてはコスト競争が主軸だったが、現在は生き残ったメーカー同士の競争余地が狭まりつつある。OEM供給も、もはや有効な打開策とはいい難い。

 NV200バネットは、三菱自動車、GM、インドのアショック・レイランドなどにOEM供給されていたが、すでにすべて生産終了となった。自社でスケールメリットを確保できない車種は、今後も市場から姿を消す可能性が高い。商用車のモデル終焉は、今後さらに加速すると見られる。

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