日産、採算度外視の「切り捨て」か? NV200バネット生産終了・湘南工場閉鎖が示す、高収益化への「痛すぎる決断」

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日産自動車は国内外6拠点の工場閉鎖を含む再建計画「Re:Nissan」を発表し、70年以上の歴史を持つ湘南工場の閉鎖と商用車「NV200バネット」の生産終了を決断した。固定費高騰や市場縮小を背景に、収益性低い車種の整理を進める日産の戦略転換は、国内生産の集約と高付加価値車種への資源再配分を加速させる。今後の事業構造の変化と地域経済への影響を読み解く。

低価格帯からの静かな撤退

日産・NV200バネット(画像:日産自動車)
日産・NV200バネット(画像:日産自動車)

 NV200バネットには全11グレードが存在する。価格帯は幅広く、ふたり乗りの最廉価グレード「DX」は234万1900円。一方、後部座席をベッドとして使える「My Room」は507万7600円に達する。

 量販価格帯のモデルは利益率が低く、高級車に経営資源を振り向ける日産の戦略とは乖離がある。販売台数も少なく、スケールメリットが得られない。加えて、

・製造ライン維持にかかる固定費
・他車種との部品共用率の低さ
・環境規制対応にともなうコスト増

といった要因が、生産終了の直接的な引き金となった。

 日産に限らず、自動車各社は収益性の高い高級車へのシフトを加速している。日産も「脱・安価車」を急ピッチで進め、低収益車種の整理を本格化させる。商用車市場からの段階的な撤退も視野に入れている。

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