「バス崩壊」は避けられない? 運賃はなぜ値上がったのか? 迫る「2025年の崖」と地方の叫び――コミバス署名、外国人採用、AIダイヤ…生き残りへの最終戦略とは? 2024年問題を振り返る

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2024年問題を契機に、バス業界は人手不足や高齢化、運行効率化といった課題に直面。しかし、車両多角化やデジタル技術活用、行政支援を駆使し、変革の時を迎えている。地域ごとの対応格差が残るなか、今後の業界の未来はどう変わるのか。

上限規制から1年

路線バス(画像:写真AC)
路線バス(画像:写真AC)

 バスドライバーの働き方改革として、退勤から次の出勤までのインターバルが延長された。加えて、車両運転業務にも時間外労働の上限規制が適用されることとなり、2024年4月から運用が始まった。

 これにより、人手不足や人件費増などの課題が一気に顕在化した。これらの問題は総じて「2024年問題」と呼ばれている。従来どおりのダイヤを維持しようとすると、ドライバーの数が追いつかない。ドライバーの高齢化や、給与水準の低さによる就職希望者の減少も重なった。

 その結果、路線ダイヤの抜本的な見直しが避けられない状況に至った。バス事業者にとって、もはやドライバーの確保自体が困難となっている。利用者にはサービス低下として跳ね返り、バス離れが加速した。

 さらに、コロナ禍を経てテレワークが普及したことで、定期券収入という安定的な収益源も失われた。事業者の経営環境は一段と厳しさを増している。

 こうした状況の中で1年が経過し、2025年4月を迎えた。本稿では、この1年で見えてきたバス事業者の変化の兆しを整理し、今後求められる方向性を考察する。

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