「バス崩壊」は避けられない? 運賃はなぜ値上がったのか? 迫る「2025年の崖」と地方の叫び――コミバス署名、外国人採用、AIダイヤ…生き残りへの最終戦略とは? 2024年問題を振り返る

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2024年問題を契機に、バス業界は人手不足や高齢化、運行効率化といった課題に直面。しかし、車両多角化やデジタル技術活用、行政支援を駆使し、変革の時を迎えている。地域ごとの対応格差が残るなか、今後の業界の未来はどう変わるのか。

運賃の変動と地域別対応

路線バス(画像:写真AC)
路線バス(画像:写真AC)

 2024年問題を背景に、主要都市および地方都市で路線バスの運賃改定が相次いだ。

 特に象徴的なのは、東京都内において均一運賃に事業者間の差が生じ始めた点である。都営バスは210円均一。多くの民間事業者は230円均一(6月から西武バスもこれに加わる)。一方、小田急バスや国際興業バスは240円均一(ただし国際興業バスはIC利用時に限り230円均一)となっている。これまで特殊な例を除き、都内の運賃水準はほぼ横並びだった。しかし、

・沿線環境
・運行負荷

の違いを背景に、事業者ごとの運賃設定が避けられない状況となった。

 全国的に見ても、バス運賃は上昇傾向にある。加えてドライバー不足の影響で、運行本数は減少し続けている。これらの状況については、筆者(西山敏樹、都市工学者)が以前当媒体で書いたとおりである。

 最近では、長崎県佐世保市で市民グループがコミュニティーバスの運行を求め、署名活動を始めたとの報道があった。買い物・通院・役所まわりといった日常移動における基本的なニーズに、路線縮小が直接影響している。ただし、コミュニティーバスであっても、運行は委託事業が前提である。実際に現場を歩いてみると、自治体の委託を受けたくても対応できる事業者が少なくなりつつある。受け皿となる事業者のキャパシティー不足は今後さらに深刻化する可能性が高い。

 観光地にも影響は波及している。京都ではインバウンドの増加により、住民が路線バスを利用しにくい地域も出てきた。これに対し、京都市交通局は京都駅~清水寺~祇園~銀閣寺といった観光エリアをつなぐ「観光特急バス」を新設し、生活路線との分離を図っている。

 今や事業者は、自助努力と工夫で難局を乗り切るしかない。国土交通省は代替困難路線に対して、発生経費と収益の差額、いわゆる赤字の2分の1を補助している。しかし、財政制度等審議会の部会では、こうした制度構造の見直しを求める声も出始めている。補助対象の路線数が減っていない一方で、今後は地域の創意工夫に依存する傾向が一層強まりそうだ。

 千葉県市原市のように、地域のドライバーとして就職した人や一定期間継続勤務した人に対して、予算の範囲内で支援金を交付する制度を設ける自治体も出てきた。こうした政策に踏み切れる自治体と、そうでない自治体の間で、対応格差も広がりつつある。

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