転生したら「環状八号線」だった件

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東京郊外を貫く環八――全長44km、完成までに約80年を要した“末っ子都道”は、今や1年で約47万人時間の渋滞損失を記録する都市交通の急所。生活環境への配慮と過密交通の狭間で、その存在意義が問われている。

自己紹介

環八(画像:写真AC)
環八(画像:写真AC)

 吾輩は環八である。多くの人に、このニックネームで呼ばれている。文字で表す場合、カタカナのカンパチだと刺身や寿司ネタのアジ科の魚と間違えやすくなるので漢字のほうが多い。ある朝、なにか気がかりな夢から眼をさますと、吾輩が寝床のなかで環八に変わっているのに気づいた。元は人間だったが、気づけば都心を迂回する道路として東京都の交通を支えている。今回は吾輩の視点から、環八について話をしていこうと思う。

 これは新たな車両評論のスタイルである。“マジガチ”のコメントはくれぐれもお控えください。

※ ※ ※

 環八はニックネームといったが、正式な名前は「東京都道三一一号環状八号線」である。大田区羽田空港3丁目を起点とし、

・世田谷区
・杉並区
・練馬区
・板橋区

を抜けて北区岩淵にいたる総延長約44kmの都道だ。吾輩のルーツは、東京市が1927(昭和2)年に発表した大東京道路網計画にまでさかのぼる。しかしながら、戦争が始まったことや、戦後になっても整備する優先順位の低さから、工事が先送りされてきた。その結果、2006年5月に難産の末やっと全線開通にこぎつけた次第だ。

 東京都市計画道路幹線街路環状線は、一号線から八号線まであり、環状線のなかでは「末っ子」的な存在である。ここで末っ子的というのは、完成・未完成ではなく、8番目(いちばん最後)のという意味でとらえてほしい。ちなみに、インターネットで末っ子の特徴を調べてみると、

・甘えん坊
・要領がいい
・マイペース
・面倒くさがり
・自己中心的
・依存しやすい

などと出てくるが、当てはまっているのは、なかなか全線開通しなかったマイペースなところだろうか。

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