路線バス会社の「96%」が赤字だった! なぜここまで追い込まれた? あなたの街は大丈夫? 低年収、長時間労働…構造不況からの脱却は可能か?

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バス会社96%が赤字という現実。公共交通崩壊が迫る。運転手不足、高齢化、利用者減が構造不況を招く。抗う術はあるのか。危機的状況を打破する革新のカギを探る。

不便と無関心のはざま

路線バス(画像:写真AC)
路線バス(画像:写真AC)

 通勤・通学利用者の困惑はもちろんだが、高齢者にとって移動手段の喪失は深刻な問題である。「移動の自由」を奪われることで、日常生活そのものが制限される。

 バスではないが、最近では富山地方鉄道の事例がしばしばメディアで取り上げられている。地方都市の鉄道も、バスと同様に経営の厳しさに直面している。今春のダイヤ改正では、日中2時間に1本の区間が出たほか、閑散期に日中の運行を取り止める区間も出てきた。こうした判断に対し、ネット上では理解や共感の声は少ない。むしろ

「経営努力が足りない」

とする批判のほうが目立つ。しかし、減便はやむを得ないという判断にも頷ける。これは、事業者と生活者とのあいだで、十分なコミュニケーションが築けていないことの現れだ。経営の苦しさを、事業者側が具体的に可視化し、生活者に判断の材料を提供すれば、理解の土台が生まれるはずである。

 例えば、京都市交通局では営業係数を公開している。車内や停留所に掲示されており、生活者が自分の足として使っているバスの経営状況を直感的に理解できる。営業係数とは、100円の収入を得るためにいくらの費用がかかっているかを示す指標で、100未満なら黒字、100を超えれば赤字となる。このように、

・インプット(経営情報の開示)
・アウトプット(地域との対話)

をセットにしたコミュニケーションの場づくりが、いまバス事業には求められている。

 近年では、「使えないから使わない」という無関心層も増えている。こうした無関心を関心に変えるためにも、事業者と生活者のあいだで新たな関係を設計し直すことが不可欠である。誰が、どうやって地域の移動を支えるのか。その根源的な問いに向き合い、社会全体で考えるタイミングがきている。

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