東海道線「快速アクティー」廃止! 神奈川県の「支離滅裂」要望で鉄道弱体化? 鉄道行政のプロ不在が招いた悲劇を考える

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神奈川県鉄道輸送力増強促進会議が提出した要望リストは、地域住民の利便性向上を目指すものの、鉄道事業者との議論不足が目立つ。特に、東海道線の快速アクティー廃止問題を通じて、自治体と鉄道事業者の間にある情報格差と専門知識の欠如が浮き彫りになった。2023年のダイヤ改正で実現した停車駅増加に対しても、地域の真のニーズに応えるには、さらに深い議論が必要だ。

時間短縮で実現する利便性向上

筆者による要望案を時刻表化したもの(画像:北村幸太郎)
筆者による要望案を時刻表化したもの(画像:北村幸太郎)

 東海道線全体の速達性向上を考えるなら、筆者は添付画像のようなダイヤ案(時刻表)を策定し、無差別な停車要望ではなく、次のように要望内容を整理すべきだと考える。

・辻堂駅からの都心アクセス向上のため、下りと同様に上りも戸塚で快速アクティーと湘南新宿ライン快速(東海道線内各駅停車)が接続する体系への変更を要望する。

・鴨宮、二宮、大磯駅からの都心アクセス向上のため、下りと同様に上りも平塚で快速アクティーと普通列車の待ち合わせを実施することを要望する。

・辻堂駅からの都心アクセス向上のため、上下線ともに戸塚で東海道線普通列車と湘南新宿ライン特別快速が接続する体系へ変更し、特に上りは戸塚で同時発車とすることで、これまでの上り大船駅での待ち合わせと比較して、特別快速停車駅から東京方面への所要時間短縮を要望する。

・当初要望していた快速アクティーの1時間あたりの本数増加の要望を撤回し、上記1~3の施策により、快速アクティー「湘南新宿ライン特別快速」の運行本数を増発せずとも、東京・新宿の両方面から小田原方面間において実質毎時2本ずつの運行がされる状態を要望する。

・平塚駅での緩急接続の機会を増やせるよう、平塚駅での特急の通過待ちを可能な限り国府津駅などへの通過待ち分散を併せて要望する。

・快速と普通の待ち合わせ時の、快速列車の発着前後における普通列車側のタイムロス削減のため、待避駅前後の信号閉塞を細分化し、より短い間隔での続行運転が可能になるよう改良を要望し、その費用負担について協議を申し入れる。

・現状、平塚以西の区間で、一部時間帯に最大5~25分の運転間隔の偏りがある。1時間あたり4本の運行であれば、平均運行間隔の±20%程度の偏り(12~18分程度)に抑えた運行間隔への見直しを要望する。

・東海道線東京方面~横須賀線逗子方面間の速達性向上のため、戸塚駅において、東海道線と発車時刻が近い横須賀線列車の時刻調整による接続を要望する。

以上の内容を踏まえて作成したダイヤイメージが添付の時刻表である。読者の皆さんにもさまざまな案を考えて発信してもらえればと思う。

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